宇幸窯では急須や湯呑みを「泥漿鋳込み成形」(泥漿[でいしょう]を石膏型に流し込む方法)で成形しています。
製土工程で作った泥漿(ノタ)は、この工程で急須の形になります。泥漿鋳込み成形はさらに排泥鋳込み成形と圧力鋳込み成形に大きく分けられますが、今回は排泥鋳込み成形で急須の胴体を成形する方法をご紹介します。
朱泥ノタの流し込み
攪拌機で朱泥ノタをかき混ぜてドロドロの液状にします。こうして液状となった朱泥ノタを急須胴体用の石膏型に流し込みます。
朱泥ノタは石膏型に水分を吸収され、石膏型との接地面から徐々に固まっていきます。
約20分経過したら石膏型を逆さまにして、まだ液状の朱泥ノタを排出します。これを排泥といいます。さらに時間を置いて石膏型に張り付いた朱泥ノタが固くなるのを待ちます。
急須胴体の生地ができあがり
石膏型を分割すると、内側に張り付いていた朱泥ノタが急須胴体の形になった生地ができあがります。この状態ではまだ柔らかいので、さらにゆっくりと乾燥させます。
急須の手と口部分も胴体と同じように排泥鋳込みによって成形します。蓋については圧力鋳込みという方法でで成形しますが、またの機会に紹介したいと思います。
店長の
こぼれ話

一度の鋳込みで、約200個の急須を作ります。
実は急須づくりの工程の中で、この鋳込みの工程が一番気を使います。その時その時で違う、材料の状態や気候、型の状態を見極めながら作業を進めています。
鋳込み作業に問題が発生すると、この後の工程でも問題を引きずってしまうことがありますので、一つ一つ真剣に鋳込みを行っています。