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湯呑みの乾燥から焼成

 湯呑みの成形と加飾が終わり、箱の中でゆっくりと乾燥させています。
(このような金属の箱を、こちらでは“カンカン”と呼んでいます)
 
 湯呑みの中側には"中白”と呼んでいる釉薬を筆で塗ってあります。焼成前なので、まだざらっとしています。



 乾燥が終わり、いよいよ窯詰めです。
 
 耐火性の棚板(カーボランダム棚板)と支柱を使って、湯呑を上に積み上げていきます。
 焼成前なので湯呑みの色がぼやっとしています。

 最上段まで積み上げたら上蓋を降ろして焼成に入ります。



 これは電気窯のコントローラーで、上中下段の3段制御で焼成管理ができます。
 焼成途中が省略されていますが、今は窯の煉らし(最高温度を一定時間キープ)に入ったところです。

 常滑焼の朱泥土は他産地に比べて焼成温度が低めです。


 電気窯内部が十分に冷めたところで上蓋を上げます。

 焼成前に比べて湯呑みの加飾の色が鮮明に浮き上がりました。
 写真では分かりにくいですが、湯呑みの中白も艶が出ています。



 この後の工程は以前にも紹介しましたが、高台(湯呑の裏底)擦りや還元燻し焼成などがあります。


還元燻し焼成

前回焼成した急須・湯呑の一部を還元燻し焼成します。

還元燻し焼成に使う窯は以下の小型の電気窯です。
以前は本焼成用に使っていましたが、今は還元燻し焼成専用の窯として使っています。



 
 
下段には湯呑を重ねて横にして積みました。

この後の色の変化に注目してください。


 
 
窯の上段には急須を順に積み上げ…
 
最上部には色の変化が良くわかるように、湯呑をかぶせて置きました。


 
還元燻し焼成用の温度で焼成し、窯が冷めるのを待ちます…

窯の制御盤の温度を確認すると、200℃程度まで冷めました。
 
上蓋を開けて窯出しです。


 
 
窯の蓋を開けたところです。

急須も湯呑も朱泥部分が黒色に変化しています。


 
 
下段に入れた湯呑も燻しがかかっています。


 
比較の為に、焼成前後の湯呑を並べました。
 
常滑焼の土に含まれる酸化鉄の作用で酸化焼成後は朱泥色をしていますが、還元燻し焼成することにより、黒色に変化しています。

還元燻しについて詳しく知りたい方は、「急須の製造工程」の下方に記載してある「還元燻し焼成」の項をご覧ください。 ※以下の画像をクリックしてください。



急須セットの湯呑を焼成しました

 ずいぶんと長い間、日記の更新をさぼっていました…
 常滑焼宇幸窯の急須セットも湯呑の在庫切れで欠品状態がつづいており、本当にご迷惑をおかけしておりました。
 
 久しぶりに湯呑が焼成できましたので作業風景を報告します。
 これは電気窯の上蓋を上げたところです。

 酸化焼成した急須・湯呑みの地肌は、これぞ常滑焼!といった感じで朱泥色に染まっています。


 
 写真には写っていませんが、窯の最上段には灰釉京形湯呑が、その下段に朱泥京形急須が収まっています。
 そして中段には朱泥紫彩湯呑み、下段には朱泥緑彩湯呑みが並んでいます。
 



 
 焼きあがった製品の窯出しをして…
 
 これは、湯呑の高台の底を回転やすりの上で擦って滑らかにしているところです。
 
 窯出し後の焼き物の底はざらざらしていますので、食卓等を傷つけないためにも、大切な作業です。


 
 
 さっと擦るだけですが、湯呑の高台の底が滑らかになりました。
 
 
 朱泥急須とのセット組の場合にはこれで作業完了ですが、黒泥急須とのセット組の湯呑はこの後で燻還元焼成を施します。


 
※ショッピングカートの朱泥急須セットと灰釉掛け急須セットの在庫状況を更新させていただきましたので、よろしくお願い致します。


第66回全国茶品評会農林水産大臣賞受賞の方より...

 第66回全国茶品評会普通煎茶10kgの部で農林水産大臣賞を受賞された方から祝賀会用の急須セットをご用命いただきました。

 「全国茶品評会」とは、年に一度開催される「全国お茶まつり」大会の主要イベントです。
 「普通煎茶10kg」「普通煎茶4kg」「深蒸し煎茶」「かぶせ茶」「玉露」「てん茶」「蒸し製玉緑茶」「釜炒り製玉緑茶」の8部門において、全国の茶産地から出品された茶の審査が行なわれ、その年の優秀な茶を選定し、最高賞の農林水産大臣賞をはじめとする各賞が与えられるそうです。



 今年は静岡県静岡市で第66回全国茶品評会が開かれ、先ほどの8部門に21都府県から833点の出品がありました。そして普通煎茶10キロの部で鹿児島県霧島市の春香園製茶・有村春明様が最高賞の農林水産大臣賞に輝きました。

 普通煎茶10キロの部において、お茶の外観・香気・水色・滋味の4点の審査項目全てが満点の堂々の1位です。
産地部門においても霧島市が普通煎茶10キロの部で1位となり、個人部門と産地部門で2年連続のダブル受賞という名誉に輝きました。

 そして、霧島市で行われる「第66回全国茶品評会産地賞並びに農林水産大臣賞受賞記念祝賀会」の引き出物として宇幸窯の急須セットを御用命いただきました。実は昨年度も霧島市のお茶農家の方が農林水産大臣賞を受賞されて、祝賀会用に急須セットをご用命いただいたのですが、それがご縁で今年度受賞の有村様にもご注文をいただく事ができました。本当に有難い限りです。



 お茶と急須って当たり前の関係なんですが、急須作りをしていてもお茶を作っている方との接点は今まで意外と無かったのです。
 お茶作りのプロの方からの依頼そしてお茶作りの関係者の方々への引き出物…
嬉しい思いと同時に気を引き締めて取り組まなければと思いました。


 
 
 

 今回は蓋の裏に受賞記念の名入れをした急須と五客湯呑みのセットで注文を承りました。


 
 
 
 急須も湯呑みも数量が多くて製造作業が大変でしたが、最後の仕上げ作業です。

 急須と五客湯呑みを化粧箱にセット組して、熨斗を掛けているところです。


 
 
 
 
 化粧箱を包装紙で包んで特注の梱包用ダンボール箱に収めました。


 
 トラックの荷台に何とか収まりました。これから、クロネコヤマトさんの営業所に行って鹿児島までの配送を依頼してきます。



 約2ヶ月に渡って急須セットの特注作業をしてきましたが、何とか無事に送り出す事ができました。
 
 最後になりましたが、春香園製茶・有村春明様、『全国茶品評会農林水産大臣賞受賞』 誠におめでとうございます。
 そして、宇幸窯の急須セットをご用命いただき、本当にありがとうございました。


急須の裏底に造り手の証を刻印

 
 ほとんどの常滑焼急須には造り手(製造者)の刻印がされています。
 場所としては、急須の持ち手の下か裏底が多いと思います。
 宇幸窯では急須の胴体が柔らかい時に裏底に「宇幸」の刻印をします。


 
 最近では農作物などに生産者の表示がされているのをよく見かけますが、常滑焼急須には以前から造り手(製造者)の刻印がされています。

 どちらも、生産者(製造者)を明確にして、消費者に安心して買い求めていただけるようにとの願いからだと思います。


  
 デパートやホームセンターなどで急須を見かけたら、刻印を探してみてください。
 もし急須に刻印が無かったら…安心して使うことができますか?



 別ページでも紹介していますが、常滑焼産地は地域団体商標「常滑焼」の商標を取得して、認定された製造者に地域団体商標の個別番号が付与されています。

とこなめ焼協同組合の組合員名簿」から検索することができます。

宇幸窯の組合員名は(有)水本陶苑
地域団体商標使用登録番号は(08-1007)です。


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